東京メトロ銀座線部分運休について

 今回は、昨年12月28日より、年を跨いで運休して工事を行っていた東京メトロ銀座線についてです。

 

 

f:id:akaden101:20200102230016j:plain

青山一丁目駅構内に掲示されていたポスター

 私は、1月2日は工事を前倒しで終わらせて1月2日の昼頃運転再開を予想していましたが、予想に反し、予備日は1月3日となっており、運休期間ギリギリまで工事していたようです。報道等を見る限り、大きな遅滞なく予定通りに工事は終了した模様です。

1.変則的折り返し運転

 今回の大工事に伴い、溜池山王青山一丁目と、表参道~渋谷間が運休となっていました。

 このような変則的な運休区間が設定された理由は、渋谷~赤坂見附に渡り線が存在しないこと、外苑前が銀座線の単独駅であることの二つの理由があります。

 すなわち、溜池山王渋谷寄りの既設の片渡り線を用いて折り返し運転を行い、溜池山王~渋谷を運休とすると、銀座線のみ停車する外苑前駅に行く手段がなくなってしまいます。この外苑前駅の救済のため、青山一丁目~表参道のAB線それぞれに1編成ずつ電車を封じ込め、青山一丁目~表参道の往復運転を行いました。

 但し、逆走となる場合、つまりA線の表参道→青山一丁目とB線の青山一丁目→表参道はATCが正常に動作しなくなるため、回送としていました。

 というのも、東京メトロATCは、従来のアナログATCの周波数を増やすことで多段現示及び前方予告を可能としています。つまり、根本的にはアナログATCと同じなので、ATACSのように、単線運行等の柔軟な運行には対応できないのです。

  

f:id:akaden101:20200103011734j:plain

銀座線の路線図。渋谷駅が隠されている。

f:id:akaden101:20200103012220j:plain

対向列車から撮影した「青山一丁目」表示

f:id:akaden101:20200103012431j:plain

表参道駅渋谷方の車止め

  表参道駅渋谷方には車止めが仮設されていました。

  また、渋谷駅工事に伴い今までもこのような運休措置が取られていたせいか、行き先表示には「青山一丁目」「表参道」のコマが用意されていました。さらに、以前の運休の際は作動していなかったと言われる車内LCDが今回は正常に作動し、写真のように「表参道行き 次は 表参道 終点」と正確な案内を行っていました。ただ、なぜか青山一丁目のホームの放送は英語放送含め肉声放送でした。

 

f:id:akaden101:20200103011906j:plain

1000系の車内LCD

f:id:akaden101:20200103012711j:plain

復路は回送

 工事の初期段階で表参道に渡り線を設けて表参道~渋谷だけ運休とすればよいと個人的には思ったのですが、前面展望動画を見てみると、地下区間入口~外苑前はAB線間に壁や柱が隙間なく林立していたので、トンネル函体自体に手を加えることになるので断念されたものと思われます。

 

 また、不慣れな人が誤乗してしまうのを防ぐため、写真のように、案内表示の上にシールを貼る等の誤乗対策が行われていました。但し、少々雑な隠し方案内表示もありましたが…

更に、年末年始時期で、観光客や初詣客も少なくないことから、係員を増員し呼びかけを行っていました。

 

f:id:akaden101:20200103012022j:plain

急ごしらえの案内表示

f:id:akaden101:20200103012125j:plain

雑。

 

f:id:akaden101:20200103013025j:plain

ホームドアを使って告知

f:id:akaden101:20200103013114j:plain

「運休」と書いた紙を貼り付け

 

2.工事について

工事の概要

 

f:id:akaden101:20200103115952j:plain

渋谷スクランブルスクエアと銀座線新ホーム

銀座線ホーム移設工事は渋谷駅周辺再開発の一環として実施されています。この渋谷駅周辺再開発では、メインである東急東横線地下化(2013年竣工済)に留まらず、山手貨物線ホーム移設、半蔵門線ホーム増設、更には老朽化した東急百貨店の建て替え、渋谷ヒカリエ建設(竣工済み)等が含まれています。

 再開発の第一の目的はやはり「動線の単純化」です。東横・副都心線直通開始直後の渋谷駅の動線は極めて煩雑で、「ダンジョン」「迷宮」等と揶揄される程でした。

 他にも、銀座線の線路を支えるために明治通りとバスターミナルに林立していた橋脚を減らして交通の円滑化を図るという目的もあります。

工事の進捗状況

f:id:akaden101:20200103130526j:plain

夕暮れの渋谷(ヒカリエ8Fより撮影)

 上の写真の「TOKYU」と書かれたビルに食い込んでいるのが旧ホームで、手前の円筒のようなものが新ホームです。

    かつて林立していた橋脚は太い3基の橋脚に集約されていました。新ホームの外には工事桁が架設され、クレーン等の設置場所となっていました。

f:id:akaden101:20200103125031j:plain

新ホームを宮益坂交差点から撮影

 新しい銀座線ホームは一部の壁がガラス張りになっているようですが、微妙な高さの位置にあり、いくつかの立ち入り可能な場所から撮影を試みたものの、中の様子をはっきりと伺うことはできませんでした。

 しかし、工事の様子を映すライブ映像モニターが渋谷ヒカリエ1F入口付近とスクランブルスクエア2Fに設置されていました。 

 取材に行った2020年1月2日時点では施設は1番線の油圧式車止めや案内表示等含めほとんど完成していて、今にも運転再開できそうな様子でした。

 ただ、モニターを見たところ、二つの疑問がわきました。

 一つは弾性直結軌道等の省力化軌道にせず普通のバラスト軌道にしたことです。これは今後も工事が続くことへの備えでしょうか。それとも、単に高速走行しない場所だからでしょうか。ぱっと見では判明しませんでした。

 二つ目は大ターミナルたる渋谷駅には必須のホームドアが銀座線新ホームに無いことです。点字ブロックもホームドア設置を意識した配置ではありませんでした。また、ホーム上にIRセンサー吊り下げ用と思われる棒が架設されており、当面の間ホームドア非設置とする様にも見えます。運転再開までに設置するのでしょうか。この2点についても、後日改めて取材したいと思います。

 

f:id:akaden101:20200103121156j:plain

ヒカリエ1F入り口前のモニター。

f:id:akaden101:20200103121249j:plain

スクランブルスクエア2Fのモニター

f:id:akaden101:20200103122708j:plain

ヒカリエ↔スクランブルスクエア連絡通路より撮影。

f:id:akaden101:20200103124020j:plain

スクランブルスクエア2Fより撮影

また、ヒカリエ1F入り口横に銀座線の改札口が新設されていました。

f:id:akaden101:20200103124640j:plain

ヒカリエ横に新設された改札口


 更に、ヒカリエ4Fのガラスが一部取り外されていました。ホームの位置を考えると、ヒカリエ直結改札口でも作るのでしょうか。こちらも追々取材したいと思います。

f:id:akaden101:20200103123651j:plain

ヒカリエ4Fの謎の出入り口

f:id:akaden101:20200103123739j:plain

関係者出入り口?

 スクランブルスクエア2Fにも、シャッターの下りた謎の出入り口と、そこに向かって「銀座線→」の表示がありました。おそらく、こちらも新しいスクランブルスクエア直結出入り口になるものと推測されます。

 

f:id:akaden101:20200103125724j:plain

スクランブルスクエア2Fの案内板

f:id:akaden101:20200103125806j:plain

案内板の位置はこの辺。

 
 だいぶ長くなりましたが、今回はこの辺で終わりにします。

 しばらく多忙につき、ただでさえ遅い更新ペースがさらに落ちそうですが、2020年1月3日に営業開始した新ホーム含め、変わりゆく渋谷駅の様子をお届けできたらいいなと思います。