銀座線渋谷駅新ホーム

 

 2020年1月3日、予定通り渋谷駅の銀座線ホーム移設工事が終了し、新ホームが使用開始となりました。

 今回は、新ホーム関連の設備や、旧ホームについて書きたいと思います。

※移設工事の様子は<東京メトロ銀座線部分運休について - akaden101の雑記帳>をご覧ください。

 

新ホーム関連の設備

  新ホームは、まるで人間の肋骨のようなユニークな柱を持つ大屋根が目を引きますが、前回紹介した「ヒカリエ4Fの謎の出入り口(?)」の直上は普通の四角い屋根となっていて、一部は天井パネルさえありませんでした。ただの資材搬入スペースなのか、それとも新出入り口の準備工事なのかは不明です。

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新ホームの浅草寄り。

 また、発車案内標は一般的な天井からつるす横長タイプではなく、柱状の珍しいタイプです。

 床面については、まだ床板が仮のものとなっていました。しかしながら、一般的なゴム板敷き詰めではなく、マットのようなものとなっており、大勢の人が利用する巨大ターミナルらしい配慮です。

 そしてホームドア設置についてですが、ホームドアに対応した配置となっていないものである、点字ブロックも接着式となっている上に、前回に書いた「IRセンサーを吊るす棒らしきもの」にはセンサーとおぼしきものは吊るされていませんでした。ただし、ホームドアも固定柵も無いのにTASC地上子だけは設置されていました。従って、この先もホームに手を加えるような工事が続くこと、そしてその過程でホームドア設置を行うことが予想されます。 

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独特な発車案内標。

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仮設の床。

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柵も無いのにTASC地上子は設置済み。


  また、東京メトロ全線で使用している営団新CS-ATCの(線路終端部等の)過走防護機能であるORPも当然ながら設置されています。レール間に「P」と書かれた標識があり、標識のあたりを通過すると、単打ベルが鳴動していました。運転台の様子は伺えませんでしたが、標識が停止位置からおおむね80M離れていたので  35km/h→7.5km/hのパターンだと思われます。PEP信号を受信するとピヨピヨ音鳴動と共に5.5km/hまでの減速パターンを生成する機能もありますが、雑音のせいかピヨピヨ音は聞き取れませんでした。

   2番線は車庫への入出庫線に繋がっているので、停止位置の少し先に入換信号機が設置されていて、同じ位置に手信号代用機も設置されています。信号機器ボックスには「東急建設」の文字が誇らしげにペイントされており、今回の渋谷駅移設工事に東急建設も深く関与していることを示しています。 

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2番線の「P」標識。設置位置はご覧の通り

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2番線の入換信号機と手信号代用機。

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信号機器の拡大写真。「東急建設」の文字が。

 

 因みに、1番線は行き止まりですので、車止めが設置されていました。

 ホームから見えにくい位置にありますが、渋谷駅の京王井の頭線ホーム等に設置されているものと同型の油圧式車止めの模様です。1番線で万が一暴走事故が起きると常に多くの人が歩いているコンコースに突入してしまうことから、先述のORPと合わせて厳重な過走対策が施されています。

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1番線の車止め。

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[参考]渋谷駅井の頭線ホームの車止め。

 

旧ホームの様子

 2019年12月27日終電をもって80年以上の歴史に幕を降ろした旧ホームですが、旧降車専用ホームは、フェンスが設置され、通路として使用されています。一方、旧乗車ホームは完全に封鎖され線路も第三軌条も撤去されたうえで、線路切り替え時に使用したと思われる資材の置き場とされていました。ただ、なぜか乗降終了合図器とレピーターは新ホームに転用されず放置されていました。

   車庫から乗車ホームへ向かっていた線路には、旧乗車ホーム手前に枕木の車止めが仮設されています。現在は旧降車ホームに面する線路を使って車庫に入出庫しています。将来は入出庫線を現ホーム手前まで複線とする予定のようですので、そう遠くない将来、旧ホームも解体されるものと思われます。

   旧ホームの様子を様々なアングルで撮影しましたので、枚数が多いですが貼っていきます。

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旧降車ホームはフェンスが設置された。

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フェンスの隙間から浅草方を撮影。

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かつてのホーム端。灰色の部分はかつて線路だった部分。

 

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かつてのホーム端ゼブラ塗装部分。

 

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フェンスの隙間から車庫方向を撮影。

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現ホーム端より旧ホームを撮影。

 

新ホームの弱点と今後

 乗降分離を止めて明治通り直上にホームを移転した最大の理由は、「動線の単純化」ですが、渋谷駅では山手貨物線ホーム移転や半蔵門田園都市線ホーム増設等の工事が当面は続くことから、それらの完了まではその目的を達することは出来なさそうです。また、発着線が干渉するようになったので、ラッシュ時や輸送障害発生時にその問題が顕著となるでしょう。

   しかし、旧ホーム周辺は段差が多かったのですが、新ホームは1番線が行き止まりなので段差が減少し、バリアフリー化の問題は解消されるでしょう。渋谷駅が「迷宮」から「全ての人に優しい駅」になることを願っています。

 

おまけ:「明日の神話」の裏側

   芸術家の岡本太郎氏の代表作の一つである、「明日の神話」は一時期行方不明になっていましたが、発見、修復されて現在は渋谷マークシティに展示されています。

    その巨大な壁画の裏側は、ご存知かと思いますが銀座線の車庫(上野検車区渋谷分室)への線路が通っています。車庫自体もマークシティ内部に設置されています。

 

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岡本太郎作「明日の神話