JR相鉄直通開始ー5.東急直通の準備の様子と直通のこれから

JR相鉄直通開始ー4.武蔵小杉駅 - akaden101の雑記帳 の続きです。

 さて、武蔵小杉から東急目黒線に乗り、日吉へ向かいました。相鉄東急直通線の工事の様子の観察の為です。

 

1.日吉駅ホーム上の変化

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工事用仮囲いの貼り紙

日吉駅は、東急東横線の特急以外の列車が停車するとともに、目黒線の終点となっています。相鉄直通対応工事開始前は、ホームから外れたところにシザースクロッシングとそれに連なる引き上げ線(小田急代々木上原京急品川駅でみられるようなオーソドックスなタイプ)が設置されていました。

 この駅は元町・中華街方が跨線橋のせいで暗く、配線の全容が明確に撮影可能な場所が無かったので、例によってペイントで作成した配線略図を掲載しておきます。少々お見苦しいですが、ご容赦ください。

(画面右側は渋谷方、左は元町・中華街方。赤線は新設部分、青線は撤去部分、黄色の点は現在の引き上げ線の先頭車位置、灰色はホームの立ち入り禁止部分を表す。)

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日吉駅配線略図

  上記の略図の通り、今回取材時点では引き上げ線がだいぶ渋谷方へと移動しており、シザースクロッシング東横線ホームの裏手へと移設されていました。引き上げ線への入庫列車の目黒寄り先頭車両は、なんと一部がホームにかかっています。(このため、乗務員はホームにかかっている目黒方の乗務員扉より出入りしていました)

 また、なぜか工事用仮囲いが低くなっている箇所があり、比較的鮮明に設備の撮影が可能でした。

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1,2番線の元町・中華街

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移設されたシザースクロッシング

 

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2番線元町・中華街方ホーム端の様子

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ホームにかかっている乗務員扉より出入りする運転士

4枚目の写真を見て頂くと分かるように、引き上げ線の元町・中華街方は工事スペース捻出のためか、緩いカーブとなっています。

 

 これだけでは少々分かりにくいと思い、ホーム反対側からも引き上げ線の様子を撮影しました。

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3,4番線から見た引き上げ線入庫列車。入換信号に注目。

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3,4番線から見たシザースクロッシング

 入換信号機と「入換」の標識が強引にホーム下に収められています。東急の折り返し駅にみられる「耐雪B入」と「『前』確認」も無理やり設置されています。信号機類をホーム上に置かなかったのは、万が一悪戯等にあってしまうと、重大な影響が生じるからだと推測されます。(但し、阪急の正雀駅等、ホーム上に信号機を置いている駅も存在します。)
 

2.日吉駅ホーム外の現状

続いて、往復乗車防止も兼ねて、一旦外へ出て、工事の様子がよく観察できる場所を探したのですが、高いフェンスに遮られ、工事の進捗等はあまりよく見えませんでした。

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東横線下り列車が通過

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公道からの眺めはこの通り。全然見えない。

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ホーム端からもあまりよく見えない。

 計画は、現引き上げ線より先の部分に、相鉄、東急直通線の坑門ができる予定のようです。その際に、現在二本とも使用している引き上げ線は一本減少を予定しており、直通によって引き上げ線の使用頻度が減少することを想定している模様です。このことからも、相鉄は東急直通の方を重視していることが分かります。

3. 車両の準備

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埼玉高速2000系のドア鴨居部分。

 たまたまやってきた埼玉高速2000系に武蔵小杉駅から日吉駅まで乗車しましたが、2画面LCD装着の準備工事が既になされていました。帰りに乗車した都営6300系は後期型にもかかわらずLCD準備工事が施工されておらず、同形式の今後の去就が気になります。

 

 4.直通のこれからについて

 かれこれ5回にわたり、相鉄の都心直通プロジェクトについて書いて来ましたが、最後に、直通の未来について書いていきたいと思います。

 まず、東急は2022年の直通開始を予定しております。但し、東横線ではなく目黒線への直通となります。これにより、相鉄の電車は山手線の内側まで乗り入れることとなります。それどころか、埼玉県内への乗り入れの可能性も十分にあるでしょう(埼京線経由ですでに埼玉県へ乗り入れているので)。

 ちなみに、私は相鉄車の運用番号末尾のアルファベットは「U」になると予想しています。というのも、「S」は既にメトロが使用しており、「T」も東京都交通局が使用しています。また、「O」は数字の「0」と紛らわしいので、使用できません。従って、社名のアルファベット「SOTETSU」の中で使用可能なのは「U」だけです。

 また、目黒線及びメトロ南北線埼玉高速鉄道線都営三田線の3路線は、8両化を実施することになります。各駅で8両化の準備工事は既に完了しているので、それ以来何十年も埃を被っていた場所がようやく日の目を見ることになります。

 一方で、今まで10両化を推進してきた相鉄は、ここにきて8両編成を新造することとなります。(20000系はそのための試作車の可能性がありますが、真偽は不明です。) 相鉄は、国鉄並みの大きな車両限界と10両編成という二つの長所を生かして混雑緩和を果たしてきましたが、東急と地下鉄の車両限界に合わせた8両編成の電車は、昼間はともかく、通勤ラッシュにどのような悪影響を及ぼすかは未知数と言えます。

 東急直通が開始されれば、「横浜駅乗り換え客の減少による混雑緩和」という主目的が達成されたか否か、すなわち「相鉄の都心乗り入れは意味があるか否か」が問われるでしょう。相鉄沿線からの新横浜駅へのアクセスも大幅に改善される予定ですが、やはり第一義はラッシュ時の混雑緩和ですので、そこで真価を発揮できるか否かが勝負でしょう。

 しかし、JR埼京線東急目黒線共に他の路線と既に直通運転をしており、大変複雑な運行系統となります。これにより、遅延が急増することが懸念されます。一般的に、直通運転のデメリットとして「遅延増加」がよく挙げられます。一部の方は、東京メトロ副都心線開業時の大混乱ぶりを思い出すかも知れません。しかも、今回は、直通相手が二つとも遅延しやすい路線である一方、今までの相鉄は遅延が関東の私鉄の中では少なかったので、余計に遅延が目につくこととなるでしょう。現に、JR直通開始直後に横浜駅相鉄ホームにJR車が代走で入線するという事態も早速発生しています。

 (既に遅延の多さで悪名高い埼京線はここでは割愛します。)

 東急目黒線自体はさほど遅延が多いわけではありませんが、東横線と並走する区間(田園調布~日吉)で非常ボタンが扱われてしまうと、目黒線も一緒に抑止されてしまいます。また、東横線車両故障や、大幅なダイヤ乱れによる10両編成の車庫への撤収などがあると、目黒線武蔵小杉~元住吉間を使用して元住吉検車区へ入庫する為、目黒線列車も巻き添えで遅延してしまいます。(現に2014年の東横線元住吉追突事故では、目黒線も一緒に運休となりました。) 

 以上、今後の予定と想定しうるメリット、デメリットを長々と書きましたが、結論としては、良い設備と良い人材のどちらか一方だけではなく、両方を必要とするでしょう。ハード面はかなり優秀なようなので、直通運転の未来が明るいものとなるか否かは運行管理やダイヤ構成等のソフト面にかかっていると思います。

 

おまけ:東横橋!?

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日吉駅元町・中華街跨線橋

先ほど、「元町・中華街方が跨線橋のせいで暗く…」等と書きましたが、その跨線橋の名前はなんと「東横橋」でした。

 

 

[参考(記事5回分まとめて掲載)]

・都市鉄道利便増進事業 相鉄・JR直通線、相鉄・東急直通線<http://www.chokutsusen.jp/index.html>

・相鉄公式サイト<https://www.sotetsu.co.jp/>

 ・JR東日本ニュースリリース<https://www.jreast.co.jp/press/2018/yokohama/20180717_y01.pdf>