JR相鉄直通開始ー1.概要とダイヤ、車両

 ご無沙汰しています、akaden101です。

 多忙により本ブログを放置していました…すみません。

さて、去る11月30日、相鉄の長年の悲願であった、都心乗り入れがついに実現しました。

今回は、新宿~西谷を利用した感想や設備、さらには直通の効果等について色々と何回かに分けて書いていきたいと思います。

 あと、スマホで縦向きに撮った写真のサイズ変更を失念しており、何枚か見づらい写真となっています…度々すみません。

 

 

1:概要

 

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新宿駅2番線にあったポスター

 相模鉄道(以下、相鉄)は、横浜~海老名、湘南台を結ぶ、神奈川県内で完結する私鉄です。このためか、随分と前から都心への直通を切望していたのです。そして長年の悲願である都心直通を実現させるための直通相手をJRと東急に定めました。

 そこで、相鉄は西谷駅直上を東海道新幹線が通過していることを踏まえ、東海道新幹線沿いに新線を建設し、途中にある羽沢貨物駅付近より東海道貨物線へ乗り入れるというルートを選択しました。羽沢より先は、JRの「湘南ライナー」に乗車したことのある方ならば見覚えのあるルートでしょう。保安装置も、乗り入れ対策と増発対策を兼ねる形で、旧来の相鉄型ATSをATS-Pに変更しています。

 そして、東急については、そのまま新幹線沿いに北上し、新横浜を経由して綱島~日吉間で合流するというルートを予定している模様です。

 ここで「なぜ横浜駅に地下化等の改良をして東急へ合流しないのか」と疑問に思う方もいらっしゃるかもしれません。相鉄公式サイト等ではその理由を見かけなかったものの、横浜駅周辺の地盤に大きな問題があるからだと推測されます。(実際、みなとみらい線新高島駅付近のトンネルで変状が生じ、修理に追われたということもあったそうです。)

 いずれにせよ、極力用地買収を避け、超軟弱地盤も避けなければならない、日本の都市部での新線建設の難しさが垣間見えます。

 

2:車両

 12000系について:

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新宿駅2番線にて
外装

 相鉄は、直通にあたって、埼京線等で運用されている、JR東日本の顔ともいえる、E233系と共通の車両を製造し、12000系と命名した…ことは皆さまご存じかと思いますが、内外装は全くの別物で、共通なのは機器類だけと言えるでしょう。

 外装は、まず独特な前面デザインが目を引きます。最近の相鉄は、20000系もそうですが乗用車のようなデザインにこだわっているようです(ト〇タの車に似ている気が…)。個人的には黄色いライトベゼルが少々ダサいので黒くしてほしいと思っています(笑)

 車体側面については、ラッピングではなく塗装されたネイビーブルー一色のカラーがよく目立ちます。それだけではなく、よく見るとステンレス外板同士の継ぎ目である「せぎり」が無く、平滑な車体側面となっています。おそらく、東急2020系や都営5500系等と同様、総合車両製作所お家芸たる「sustina工法」で作られていて、レーザー溶接により板同士を重ねずに溶接し「せぎり」を無くしているものと思われます。

 ※E235系EV-E301系(ACCUM)は「sustina工法」ですが「せぎり」があります。

 また、写真には写っていませんが、車体妻面にも塗装がなされており、通勤用電車にしてはかなり手の込んだものとなっています。

 車体の規格についても、直通線のトンネル断面は十分大きいようで、前面非常扉が無い上に、拡幅車体となっています。

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「せぎり」が無い

 ※参考:同社の10000系の側面写真。幕板下と窓の下にある段差が「せぎり」

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「せぎり」のある車体(車体中央および窓上部分の段差)
内装

 内装も、結構手の凝ったものとなっております。

 下の写真の通り、袖仕切り部分はなんとガラス板がはめ込まれているうえ、荷物置き棚の支柱を兼ねる、超縦長タイプのものとなっています。但し、シート自体はE233系のものと同じ、バケットシートタイプです。また、窓も、昔の相鉄車のようなパワーウィンドウではなく、手動開閉式です。

つり革はE233以降のJR車のような三角タイプではなく、従来の相鉄車と同一と思われる楕円タイプです。妻面壁がネイビーブルーのパネルとなっている等、E233系との差はかなりのものです。

 一方、ドアや窓の形状、半自動ドア用押しボタン、2画面LCDなどはE233系の面影が色濃く残っています。

 

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12000系の車内


 ところで、相鉄が既にE233系とほぼ同じ車両である「11000系」を保有していることはご存じかと思いますが、なぜ直通に使用されなかったのかは不明です。しかし、JR車の「色違い」である11000系よりも、機器は共通だが外見の大きく異なる12000系の方が宣伝効果が良いと言えます。

 

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同社の11000系。

3:ダイヤ

 直通線のダイヤは、ラッシュ時最大で毎時4本、昼は毎時2本という、かなり間隔が開いたものとなっています(このため、取材中は待ち時間がかなり多かったです)。その後の混雑次第では、増便も有り得る…と思っていましたが、相鉄直通列車は朝でもさほど混雑しておらず、昼に至ってはガラガラでしたので、当面の間増便の必要性は無さそうです。

 むしろ、この異常に長い列車間隔は本命たる東急直通用に取っておいてあり、東急直通開始時にはその隙間に東急直通列車が運転されると推測されます。但し、後述するように、埼京線内の事情もあると思いますが…

 また、羽沢横浜国大↔西谷という、一駅しか走らない列車が早朝深夜に設定されています。この超短距離列車も、東急に直通するスジの予定なのかも…と穿った見方をしてしまいますね(笑)。

 すでに羽沢横浜国大駅の日吉方の東急直通線も線路は敷設済みなので、当面の間引き上げ線として使用するものと思っていましたが、時刻表を読むと、「2番線発車となります」と書いてあるので、本線(の予定の線路)は使用せず、2番線で直接折り返すようです。(次回に後述しますが、羽沢横浜国大駅西谷方には渡り線があります。)

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右下の時刻表に注目

一方、都心(JR)側の相鉄直通便の扱いについてですが、昼間は基本的に全列車新宿折り返しとなっています。普段は当駅始発の大宮・川越方面の列車が使用する2番線を、当駅始発の相鉄直通も使用しています。朝晩には大宮方面への相鉄直通便が設定されているようで、池袋以北への入線に備え、池袋~大宮で使用されている保安装置の「ATACS」も12000系に装備済みのようです。(前面に「ID-〇〇」というステッカーが貼ってある車両はATACS対応車です)

 こうしてみると、昼間の30分間隔ダイヤの原因は、東急直通分をとってあるということだけでなく、埼京線内の過密ダイヤも一因ではないかと思います。埼京線山手貨物線乗り入れ区間は、りんかい線直通や通常の埼京線列車、湘南新宿ライン、NEX、しまいには貨物列車…と、昼夜問わずかなりの過密ダイヤとなっている模様です。

 

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新宿駅の発車案内標

おまけ:新宿駅ホーム上の変化

 相鉄直通開始に伴い、最初にお見せしたようなポスターの貼り付け以外にも、案内標識への「相鉄線直通」等の案内の追加が行われました。

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相鉄線直通」等の案内が追加された。

 次の記事は

JR相鉄直通開始ー2.羽沢横浜国大駅 - akaden101の雑記帳です。